【直言】学歴差別はもうやめよう

窪井耕

社長の名は 編集者

大阪府に急成長を遂げる人材派遣スタートアップ企業がある。社長は「中卒」だ。その社長の名は、株式会社Leasion 代表取締役社長 越智俊一郎。彼の人生は、TikTok 社長の名は で22万回の再生回数を記録した。

彼は、中学を卒業してすぐ15才で、両親の営む居酒屋を手伝い始め、21才で転職したIT系人材派遣会社で上司からこう言われた。

ー「お前中卒だから、仕事できないだろ」

彼は、その悔しさから、「自分が社会で通用することを証明したい」と、2020年、仲間と共に人材派遣会社を創業。その後、創業メンバーが突如いなくなるというトラブルを乗り越え、現在売上高6億円、コロナ禍でありながら前年比300%の成長を見せる急成長スタートアップ企業となった。

ー「お前中卒だから、仕事できないだろ」

確かに学歴が大切になる時もあるかもしれない。しかし、果たして学歴が社会人の価値を決めるのか?我々はこの疑問を、今の学生にぶつけた。さらに、今の学生が大事に守る価値観にも迫り、変化の激しい激動の時代に活きる「普遍」の生き方のヒントを紡ぎ出していきたい。

越智さんの人生動画の感想は?

中卒という学歴に関係なく企業を成長させ、かつ、「従業員の家族まで笑顔にしたい」という越智さんが大切にされている価値観に現れているように、従業員の事まで考えている姿がかっこいいと感じました。

学歴についてどう思いますか?

正直、学歴は全く気にしていないです。大学に進学する選択肢もありましたが、「1年生の時から専門的な研究ができる事」「バスケの強豪校だった事」この2つの理由で、私は今、熊本県にある高専に通っています。現在20才で、2023年の3月に卒業予定です。

学歴でなく、やりたい事を優先したという事ですか?

はい。小学校の頃からバスケ一筋だったので、現在通っている高専がバスケが強かったのもあり、地元の鹿児島ではなく、熊本に進学を決意しました。今振り返れば、幼い頃から、世間の評価より、自分のやりたい事を優先してきた人生でした。

やりたい事を優先してどうでしたか?

人間関係で苦労しました。学校に集まった同級生も、それぞれ別々の地域から集まって来ていて、お互いに人柄がわからず、仲良くしたいと思う人も少なかったです。また、高専なので勉強も頑張らないといけず、赤点も60点で(自分の平均点はほぼ50点)勉強もプレッシャーになり、次第に体調を崩すようになりました。

体調は大丈夫でしたか?

高専1年生の時「胃潰瘍」と診断されました。「一生治らない」「将来大腸癌を発症する確率が上がる」とお医者さんから言われ、とても未来が不安になりました。さらに通院で学校にもいけず、勉強も置いていかれ精神的に辛かったです。

そんな時、一度も話した事のない友達から
授業でまとめたノートの画像が送られてきました。

そして、こんなメッセージも添えられていました。

「元気で学校戻って来てね!」と

一度も話した事のない友達が、授業のノートを写真で送ってくれたんです。当時、人と話すことすら辛い時期だったので、すごく嬉しかったです。また「なんで俺だけこんな目にあうんだ」と、学校でも下を向いて落ち込んでいた時、明るく話しかけてくれる友達も多くて救われました。気持ちも前向きになりました。

自分のことを考えてくれてる人がいて、嬉しかったです。

辛さを乗り越えて、今、どう思いますか?

まさに越智さんの動画の中に出てくる「関わってくれる人に感謝しよう」です。あの時に、一緒に遊んでくれたり、相談に乗ってくれたり、支えてくれた人たちのおかげで今があると痛感しています。なので今では、あの辛い時に支えてくれた人たちへの感謝を返すためにできる事から行動にうつしています。

成人の同窓会では”恩返し”をされたそうですが?

ちょうど、2023年の1月に成人式があり、同窓会で中学時代の1年生~3年生までの全クラスの担任のメッセージビデオを、皆のために作りました。母校に行き、先生の連絡先を聞いて回ったり、と大変だったけど、懐かしいと喜んでくれて、嬉しかったです。

そんなT.Kさんの将来の夢は?

社会課題解決のために起業したい!

自分と同じよう辛くて、悩んでいる人を助けたいと思っています。自分も温かい友達に助けれれ支えられ今があると思っているので、次は自分が誰かを助ける存在になりたいです。

どんな経営者になりたいですか?

越智社長と同じように経営者として従業員の家族のことまで考え、毎日楽しく生きていきたいと思いました。自分の経験を通じ、誰か困っている人のためになる事をすることが楽しく、幸せだと思うようになりました。

今Kさんの心の中にある想いはなんですか?

編集部からのコメント

学歴よりも想いが、行動の原動力になる。結果、学歴ではなく、その想い=心こそが、自分の描いた未来を手繰り寄せる近道になるのではないか。越智さんは「従業員の家族まで笑顔にしたい」という価値観を今も守り経営を続け急成長の原動力となり、また、「恩返しのために起業したい」と強く未来を描くTさんも、今後、そのゴール向かって走っていく未来が見えた。

私たちに理想の未来を見せてくれるのは、学歴ではなく、心に宿る想いなのかもしれない。

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